このような悩みを持っている方向けの記事です
- 手塩にかけて育てた若手が、仕事を覚えた途端に辞めてしまい、心が折れかけている
- 給料を上げても上には上がいて、結局は条件勝負になるのではと疑っている
- 自社にポストが少なく、将来を見せられないと思い込んでいる
この記事を読むと解決すること
- 会社の三年後と、若手の三年後を一本の線でつなげられる
- 給与ではなく「成長の約束」で引き止められるようになる
- 求人広告費に頼る採用ループから抜ける第一歩が打てる
この記事の要約
- 若手の離職防止は、給料ではなく「会社が三年間で何を用意するか」を約束すると強い
- 五十名以下の会社は、部署ではなく「役割」を先に作ると、現実的に回る
- 約束は一枚にまとめ、条件と判定ルールまで決めると、信頼が残る
筆者について
はじめまして。当ブログを運営しているkoueiです。
私は人材業界に約10年間携わり、これまでに 中小企業から上場企業まで1,000名以上の人事担当者や経営者と直接関わりながら、採用支援・求人原稿作成・人材教育に取り組んできました。
営業トークに騙されないための『本音のハック術』を解説します。」
若手の離職防止とは何か、結論から

若手の離職防止とは、辞めたい気持ちを気合で抑えることではありません。会社側が「ここにいれば成長できる」という根拠を作り、本人の行動につながる約束に落とすことです。
この記事で扱う「三年後の約束」は、定年までいろという無理な縛りではありません。うちで過ごす三年間は、他社で十年分の経験に匹敵する。そう言い切れるだけの、会社側のコミットと、本人側の努力目標をセットにした設計図です。
ここでも結論を言い切ります。
給与で引き止めると、より高い給与に負けます。成長の約束で引き止めると、会社は「師匠」になり、比較対象が変わります。勝負の土俵が変わるからです。
なぜ給与だけでは止まらないのか

五十名以下の会社が疲弊する典型パターンはこれです。
- 若手が辞める
- 社長が焦って求人広告を出す
- 応募が少なく条件を盛る
- なんとか採る
- 教える
- 育ったら辞める
このループが起きる理由はシンプルです。若手の視点では「今の会社に残る理由」が条件以外に見えないからです。
ここで、よくある思い込みを壊します。
「ポストがないから将来を見せられない」は誤りです。
将来とは、役職名のことではありません。どんな経験が積めて、どんな力が身につき、次に何ができるようになるかです。肩書きより、経験と再現性のほうが価値が高い局面が多いです。
もう一つ、採用面の副作用があります。
将来の話が弱い会社は、求人票も条件勝負になりやすいです。すると応募の質が下がり、ミスマッチが増え、早期離職が増えます。
求人票で条件ではなく「仕事内容のリアル」と「成長の道筋」を具体化するだけで、ミスマッチは大きく減らせます。求人票側の改善は、こちらの記事がそのまま使えます。

実践:会社の三年後と個人の三年後をつなぐ「三年後の約束」の作り方

ここからが本題です。やることは順番だけです。
最短で回したいなら、ステップ二の一枚テンプレを埋めるだけでも動きます。ここはサボってもええよ、という最低ラインも出します。
ステップ1:会社としての三年後を「三つ」に絞って言語化する
まず必要なのは、社員のキャリアではなく、会社のキャリアです。
社長の頭の中にある「こうしたい」を、社員が見える形にします。
書くのは三つだけです。
・三年後に、誰に何を提供している会社になりたいか
・三年後までに、伸ばす事業と、やめることは何か
・三年後に必要な役割は何か(部署ではなく役割)
部署新設の話をしても構いません。ただし、最初から部署にしないほうが現実的です。
先に役割を作り、成果が出たら専任化し、人数が増えたら部署化。この順番が一番事故りません。
ステップ2:「役割マップ」を作り、行き先を見せる
次に、若手が目指せる行き先を作ります。
行き先は、役職ではなく役割で作ります。
例えば…
・営業の役割:新規開拓の型作り担当、紹介ルート育成担当、提案資料の標準化担当
・事務の役割:受発注のミスゼロ担当、業務改善の標準化担当、採用事務の担当
・技術の役割:品質チェック担当、教育担当、見積精度改善担当
・接客の役割:リピート率改善担当、クレーム一次対応担当、研修担当
ポイントは、会社の三年後の重点施策と一致していることです。一致していれば、若手の挑戦は「会社の前進」になります。だから投資できます。
ステップ3:一枚で運用できる「三年後の約束シート」を作る
ここで一枚に落とします。大事なのは、会社のコミットと、本人のコミットを交換条件にすることです。
以下は、そのまま使える項目例です。スキル・スタンス・コミュニケーションの三軸で作ります。
表:三年後の約束シート(項目例)
| 軸 | 評価項目 | 会社が用意すること(コミット) | 本人が残す結果(コミット) | 一対一の質問例 | 足切り(最低条件) |
|---|---|---|---|---|---|
| スキル | 仕事の再現性 | 手順書、同行、レビュー時間を確保 | 同じ成果を二回連続で再現 | その成果の手順を最初から最後まで説明して | 基本業務の遅延を出さない |
| スキル | 問題解決の型 | 失敗共有の場、改善提案の権限 | 原因と対策を言語化し改善を一つ実装 | 最近の失敗をどう立て直した? | 他責で終わらない |
| スタンス | 学習と継続 | 学習時間の確保、教材費の補助 | 学んだことを業務に一つ反映 | 今月増えた知識を仕事にどう使った? | 無断欠勤なし |
| スタンス | 価値観の一致 | 会社の方針を言語化して共有 | 方針に沿った行動を三つ実行 | 仕事で譲れないことは何? | ルール違反なし |
| コミュニケーション | 報連相の質 | 相談しやすい窓口、週一の時間 | 重要案件の共有遅れゼロ | いま困っていることを結論から言える? | 重大な共有漏れなし |
| コミュニケーション | 周囲を動かす力 | 小さなリーダー役を付与 | 後輩や同僚を巻き込み改善を一つ完了 | 誰をどう巻き込んで進めた? | 仕事を抱え込まない |
この表が「約束」です。評価のためだけに作りません。会社が何を用意するかを、先に書き切るのが肝です。
ステップ4:配点(重みづけ)を職種別に決める
五十名以下の会社ほど、評価が気分になりやすいです。気分を排除する最短手段が配点です。
職種別の配点テンプレ(合計百点の目安)
・営業:コミュニケーション40、スタンス 35、スキル 25
・事務:スキル 40、スタンス 35、コミュニケーション 25
・技術:スキル 50、スタンス 25、コミュニケーション 25
・接客:コミュニケーション 45、スタンス 35、スキル 20
配点の決め方は簡単です。最初の三か月で成果に直結するものを重くします。
ステップ5:採点基準を一から五で言語化する
点数は、言葉がないとブレます。だから定義します。
・五点:自走できる。再現できる。周りに広げられる
・三点:指示があればできる。再現が不安定
・一点:やり方が分からない。再現できない。改善が止まる
この定義を、さっきの項目ごとに短文で置けば完成です。
ステップ6:役割移動の条件を「結果と能力」で約束する
あなたの案の核心はここです。
新部署の話、経営戦略の話をするのはアリです。むしろ必要です。
ただし、異動をプレゼントにしないでください。交換条件にしてください。
例:新しい役割に移りたい場合の約束
・結果:現職での成果を一定期間、継続して出す
・能力:新役割で必要な力を、行動で示す
・会社:プロジェクト参加や兼務で試運転の場を用意する
部署が本当に新設されるかは外部要因で変わります。だからこそ、約束はこう整理します。
方針は固定、条件は明記、更新は定期。
夢物語ではなく、現実に落ちます。
よくある間違いと注意点

間違い1:三年後を語るのに、会社側の三年後がない
「君は三年後こうなれる」と言いながら、会社がどこに行くかが曖昧だと、若手は不安になります。
まず会社の三年後です。順番を逆にすると失敗します。
間違い2:項目を増やしすぎて運用が止まる
項目が増えるほど、記入されなくなります。
一枚に収めることが最強の正義です。迷ったら削ります。
【削り方のコツ】
・成果につながらない項目を捨てる
・似ている項目をまとめる
・一つの項目に、二つ以上の意味を持たせない
間違い3:複数の上司で判定が割れて揉める
判定が割れたときのルールを先に決めます。揉めてからだと遅いです。
【おすすめの集計ルール】
- 足切りに該当したら終了(例:重大な共有漏れ、ルール違反)
- 点数は平均で見る
- 同点なら根拠メモを優先する
- 最後は「次の三か月の宿題」を決め、再判定にする
ここまで決めれば、感情のぶつけ合いになりません。
間違い4:採用の入口と社内の約束がズレている
求人票ではキラキラ、入社後は放置。これが一番危険です。
三年後の約束シートは、採用にも転用できます。面接の場で「うちはこう育てる」を言えるからです。
面接での採点表まで整えるなら、こちらの記事のテンプレがそのまま使えます。

最低限の運用ルールと改善の回し方

ツールや外注は選択肢です。ただ、手作業でも回る最低限のルールを先に置きます。
手作業でも回る最低限の運用ルール
・面談の前に、上司と本人でシートを共有する
・面談後、十分以内に点数と根拠メモを残す
・保管場所を一つに決める(紙でもデータでも可)
・更新は半年に一回に固定する
これで回ります。ここまでやれば十分戦えます。
入社後の答え合わせで改善する流れ
最初から完璧を狙うと止まります。答え合わせで育てます。
・入社一か月:期待と現実のズレを確認して、項目を削る
・入社三か月:配点が合っているか見直す
・半年:役割マップが現実に合っているか更新する
会社が変われば、約束もアップデートします。だから「更新前提の約束」にしておくのが強いです。
最後に、社長の孤独を減らす一言
社長が距離を置いてしまうのは、辞められた時のショックが大きいからです。
でも、距離を置くほど若手は「期待されていない」と感じます。
三年後の約束は、依存ではなく契約です。社長の心も守りながら、期待を伝えられます。ここ、めちゃ大事やから覚えといてください。
まとめ

・離職防止は給与ではなく、会社が三年間で何を用意するかを約束すると強い
・五十名以下は部署ではなく役割を先に作ると、現実的にキャリアが描ける
・約束は一枚にまとめ、配点と判定ルールまで決めると、信頼が残る

最後までご覧いただきありがとうございました。
お役に立てましたら何よりですが、
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